はじめに:防災用は「なんとなく大容量」では選べない
9月1日の防災の日を前に、備蓄を見直す家庭が増える時期です。なかでも判断が難しいのがポータブル電源。「大は小を兼ねる」と思って高額な大容量モデルを買っても、重すぎて避難時に動かせなかったり、逆に小さすぎて1日ももたなかったりします。
防災用のポータブル電源選びで最初にやるべきことは、「何を・何時間・何日使うか」から必要容量(Wh)を逆算することです。この記事では、停電シナリオ別の消費電力の目安と、家族人数別の容量ラインを整理したうえで、楽天のレビュー実績がある5製品を256Wh〜1,070Whのレンジで比較します。
キャンプ用途を中心に選ぶ場合はポータブル電源の選び方ガイド、1,000Wh超の大容量を検討中なら大容量ポータブル電源、持ち運びやすさ優先ならコンパクトポータブル電源もあわせてご覧ください。
停電時に必要な容量を逆算する
1人1日あたりの消費電力の目安
停電時に本当に必要な電力は、想像よりずっと小さい場合が多いです。スマートフォンの充電は1回あたり10〜20Wh程度、LEDランタンは数W、ノートPCは50〜80Wh程度。これらを合計すると、1人1日あたりおおよそ100〜150Whというのが情報通信・照明を中心とした目安になります。
ここから逆算すると、必要容量の考え方はシンプルです。
必要容量(Wh)= 100〜150Wh × 人数 × 想定日数
たとえば4人家族で2日間の停電を想定するなら、100〜150Wh × 4人 × 2日 = 800〜1,200Wh。これが「1,000Wh級が家族向けの目安」といわれる根拠です。
家族人数別・想定日数別の容量早見表
| 世帯 | 1日想定 | 2日想定 | 3日想定 |
|---|---|---|---|
| 1人暮らし | 100〜150Wh | 200〜300Wh | 300〜450Wh |
| 2人世帯 | 200〜300Wh | 400〜600Wh | 600〜900Wh |
| 3〜4人世帯 | 300〜600Wh | 600〜1,200Wh | 900〜1,800Wh |
※スマホ充電・LED照明・情報端末を中心とした試算です。冷蔵庫や電気毛布など消費電力の大きい家電を継続使用する場合は、この目安を大きく上回ります。
大容量家電を使うなら「容量」より「定格出力」
ここが最も誤解されやすい点です。容量(Wh)は「どれだけ長く使えるか」、定格出力(W)は「何を動かせるか」を決めます。電気ケトル(1,000W前後)・ドライヤー(1,200W前後)・電子レンジ(1,000W超)は、容量が十分でも定格出力が足りなければそもそも起動しません。
防災用として調理や湯沸かしまで想定するなら、定格1,000W以上、できれば1,500Wクラスを選ぶ必要があります。逆に、スマホ・照明・ラジオ中心なら定格300W程度でも実用に足ります。
防災用ならリン酸鉄(LiFePO4)を選ぶ理由
防災用ポータブル電源は「買って置いておく」時間が長い道具です。だからこそ、充放電を繰り返せる回数(サイクル寿命)が長いリン酸鉄リチウム(LiFePO4)を選ぶ意味が大きくなります。一般的な三元系リチウムのサイクル寿命が500〜1,000回程度とされるのに対し、リン酸鉄は3,000回以上とされる製品が多く、熱安定性の面でも有利です。数年に一度しか出番がない備蓄品ほど、劣化しにくさが効いてきます。
防災用ポータブル電源おすすめ5選【2026年最新】
第1位:Jackery ポータブル電源 1000 New(1070Wh/定格1500W)
Jackery ポータブル電源 1000 New 1070Wh リン酸鉄 定格1500W 最速1時間満充電 UPS機能
家族3〜4人・停電2日想定の本命。1070Whと定格1500Wで調理家電まで動かせ、UPS機能とアプリ遠隔操作も備える。
1070Whという容量は、前述の早見表でいう「3〜4人世帯で2日間」をちょうどカバーするラインです。防災用として1台に絞るなら、まずここが基準になります。
真価は定格1500Wという出力にあります。電気ケトル・電子レンジ・ホットプレートといった消費電力の大きい家電が動かせるため、停電時に温かい食事を用意できるかどうかが変わります。バッテリーはリン酸鉄で十年長寿命を掲げており、数年単位で保管する備蓄用途と相性が良好です。
さらにUPS機能を備えるため、通常時はデスクの機器を接続して待機させ、停電の瞬間に自動で切り替えるという使い方もできます。アプリでの遠隔確認にも対応し、備蓄品にありがちな「気づいたら残量ゼロ」を防げます。レビュー1,942件・評価4.72という実績も、この価格帯で選ぶ安心材料になります。
向いている人: 3〜4人世帯、調理家電まで使いたい方、1台に集約したい方
第2位:EcoFlow ポータブル電源 RIVER 3 Max Plus(858Wh/UPS機能)
EcoFlow ポータブル電源 RIVER 3 Max Plus 858Wh UPS機能 1時間フル充電 5年保証 LEDライト付
858Whと1時間フル充電の速さが武器。台風接近の予報から満充電が間に合う「駆け込み充電」に強い1台。
858Whは2人世帯で3日間、3〜4人世帯で1.5〜2日間をまかなえる容量。第1位より一回り小さいぶん、扱いやすいサイズに収まっています。
防災という観点で見逃せないのが1時間でフル充電できる速さです。台風の接近は数日前から予報が出ますが、地震はそうはいきません。「予報を見てから慌てて充電する」場面で、充電に半日かかる機種と1時間で終わる機種とでは、備えの実効性が大きく変わります。
UPS機能とLEDライトを内蔵し、5年保証が付く点も長期保管を前提とする防災用途では効いてきます。評価4.74は今回の5製品で最高値。容量と機動力のバランスを重視するなら、実質的な第1候補になり得る一台です。
向いている人: 2人世帯〜、充電の速さを重視する方、保証期間を重視する方
第3位:BLUETTI ポータブル電源 AC70(768Wh/1000W)
BLUETTI ポータブル電源 AC70 768Wh/1000W リン酸鉄 5年保証 サージ2000W 自動切替機能 アプリ対応
768Wh・定格1000Wで湯沸かしまでカバー。サージ2000W対応と自動切替機能を備えた、価格と性能のバランス型。
768Whの容量に定格1000W・サージ2000Wを組み合わせた構成で、消費電力の大きい家電の起動時ピークにも対応します。電気ケトルや小型の調理家電を「停電時に一時的に使う」レベルなら十分に実用範囲です。
リン酸鉄バッテリー+5年保証で長期保管に強く、自動切替機能により停電時のバックアップ電源としても機能します。アプリ対応で残量管理ができるのも、備蓄品としては地味に重要なポイントです。
レビュー件数は176件と上位2製品より控えめですが、評価4.71と満足度は高水準。「1,000Whは大きすぎるが、500Wh級では出力が足りない」という中間ニーズにきれいに収まるのがこの機種の立ち位置です。
向いている人: 2〜3人世帯、出力に妥協したくない方、保証と管理機能を重視する方
第4位:LACITA エナーボックス(444Wh/120000mAh/400W)
LACITA エナーボックス ポータブル電源 444Wh 120000mAh 400W 正弦波 車中泊 蓄電池
レビュー3,072件と今回最多の実績。444Whは1〜2人世帯の2〜3日分に相当し、初めての防災用として扱いやすい。
レビュー3,072件は今回の5製品で最多。日本市場で長く売れ続けてきた実績が数字に表れています。444Whという容量は、早見表でいう「1人世帯で3日間」または「2人世帯で2日間」に相当し、情報端末と照明を中心とした最低限の備えとしては過不足のないラインです。
出力は400Wのため、電気ケトルや電子レンジといった高出力家電は動きません。スマホ・タブレット・LED照明・ラジオ・扇風機・小型のCPAP機器といった「生活と情報の維持」に用途を絞る前提で選ぶ機種です。正弦波出力なので、精密機器を接続する際も波形の心配がありません。
「まず1台、現実的な価格で備えたい」という層にとって、実績と容量のバランスが取れた選択肢になります。
向いている人: 1〜2人世帯、実績重視の方、情報・照明の維持に用途を絞る方
第5位:Jackery ポータブル電源 240 New(256Wh/定格300W)
Jackery ポータブル電源 240 New 256Wh リン酸鉄 定格300W コンパクト 軽量 急速充電 UPS機能
3万円台で買えるリン酸鉄の入門機。256Whは1人1〜2日分で、持ち出し用・2台目のサブ電源として最適。
256Whは1人あたり1〜2日分に相当する容量で、大容量機と比べれば控えめです。しかしこの機種の価値は容量ではなく、3万円台という価格と、実際に持って避難できる軽さにあります。
防災の現場で意外と重要なのが「動かせるかどうか」です。10kgを超える大容量機は在宅避難なら問題ありませんが、階段の上り下りや避難所への持ち出しには向きません。コンパクトな本機なら、片手で持って移動できます。
リン酸鉄バッテリー・急速充電・UPS機能と、上位機と同じ設計思想を小型ボディに凝縮。大容量機を主電源として持ちつつ、持ち出し用のサブとして本機を追加する2台構成は、防災としてかなり合理的です。レビュー1,785件の実績もあり、最初の1台としても選びやすい価格帯といえます。
向いている人: 単身世帯、持ち出し前提の方、2台目のサブ電源を探している方
5製品スペック比較表
採用5製品を容量・定格出力・想定世帯・価格・評価で一覧にしました。
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| 商品名 | 容量 | 定格出力 | 想定世帯・日数 | 価格帯 | 評価 | レビュー |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Jackery ポータブル電源 1000 New | 1070Wh | 1500W | 3〜4人/約2日 | 119,800円 | 1,942件 | |
| EcoFlow RIVER 3 Max Plus | 858Wh | 記載なし(公式要確認) | 2人/約3日 | 99,700円 | 1,383件 | |
| BLUETTI AC70 | 768Wh | 1000W | 2〜3人/約2日 | 88,000円 | 176件 | |
| LACITA エナーボックス | 444Wh | 400W | 1〜2人/2〜3日 | 69,800円 | 3,072件 | |
| Jackery ポータブル電源 240 New | 256Wh | 300W | 1人/1〜2日 | 32,800円 | 1,785件 |
※価格は執筆時点の楽天市場での表示価格です。各社ともクーポン適用で大きく変動するため、購入時は最新の価格をご確認ください。
お手入れ・使い方Tips
3〜6か月に一度は充放電する: リチウムイオン電池は放置しても自然放電します。満充電のまま長期保管すると劣化が進むため、残量50〜80%程度で保管し、3〜6か月ごとに使って充電し直すのが基本です。防災グッズの点検日を決めて、他の備蓄品と一緒に確認する習慣にすると忘れません。
保管場所は玄関付近か、持ち出せる位置に: 押し入れの奥に仕舞い込むと、いざというときに取り出せません。停電時は暗い中で探すことになるため、玄関や廊下の収納など、暗くても手が届く場所に置きます。ケーブル類も本体と一緒にまとめておきましょう。
高温・低温を避ける: 夏場の車内(60℃超になることもある)や、暖房のない屋外物置での保管はバッテリー寿命を縮めます。0〜40℃程度の室内が理想です。特に真夏の車載放置は劣化を早めるため、キャンプから帰ったら室内に戻す習慣をつけてください。
使う家電のワット数を事前に確認して貼っておく: 停電時は落ち着いて調べる余裕がありません。冷蔵庫・扇風機・電気毛布など「停電時に使う予定の家電」の消費電力(W)を、本体に貼ったメモや家族共有のメモに書き出しておくと、当日の判断が速くなります。
ソーラーパネルは「あれば安心」ではなく「日数次第」: 停電が1〜2日で復旧するならソーラーパネルは不要なことが多く、3日以上の長期停電を想定するなら価値が出ます。まず本体を確保し、必要性を感じた段階で追加するのが合理的です。詳しくはソーラー対応ポータブル電源をご覧ください。
よくある質問
Q. 防災用は何Whあれば安心ですか?
A. 「1人1日あたり100〜150Wh × 人数 × 想定日数」で逆算するのが基本です。4人家族で2日間なら800〜1,200Wh、単身で2日間なら200〜300Whが目安になります。ただしこれはスマホ充電・照明・情報端末を中心とした試算で、冷蔵庫や電気毛布を継続使用する場合は大きく上回るため、その分を上乗せして考えてください。
Q. 容量が同じなら安いモデルを選んでいいですか?
A. 容量が同じでも、定格出力・バッテリー種類・充電速度で用途が変わります。定格400Wと1500Wでは動かせる家電がまったく違い、リン酸鉄か否かで保管に強い年数が変わります。防災用は「買って数年置く」前提なので、サイクル寿命の長いリン酸鉄を選ぶだけで実質的なコストは下がると考えるのが妥当です。
Q. キャンプ用と防災用は兼用できますか?
A. 兼用できますし、むしろ推奨されます。年に数回でも実際に使うことで、操作に慣れ、劣化や不具合にも早く気づけるからです。ただし車載での高温放置は劣化を早めるため、使用後は室内に戻してください。キャンプ主体で選ぶ場合はポータブル電源の選び方ガイドも参考になります。
Q. リン酸鉄と三元系リチウムはどちらが良いですか?
A. 防災用ならリン酸鉄(LiFePO4)が有利です。サイクル寿命が3,000回以上とされる製品が多く、三元系の500〜1,000回程度と比べて長く使えます。熱安定性の面でも優位とされます。一方で同じ容量なら三元系よりやや重く高価になる傾向があるため、軽さを最優先する登山用途などでは三元系が選ばれることもあります。
Q. ポータブル電源で冷蔵庫は動かせますか?
A. 家庭用冷蔵庫の消費電力は運転中で100〜200W前後、起動時に一時的にその数倍のピークが発生します。定格1000W以上・サージ対応のモデルなら起動自体は可能ですが、1,000Whの容量でも連続稼働は半日程度が現実的なラインです。停電時は扉の開閉を最小限にし、必要な時間帯だけ通電するといった運用が前提になります。
まとめ:防災用ポータブル電源の用途別おすすめ一覧
最後に、世帯規模と優先事項から逆算したおすすめを一覧にまとめます。
| 優先したいこと | おすすめモデル | 価格帯 |
|---|---|---|
| 3〜4人家族・調理家電まで動かす | Jackery 1000 New(1070Wh) | 119,800円 |
| 充電の速さと保証を重視する | EcoFlow RIVER 3 Max Plus(858Wh) | 99,700円 |
| 容量と出力のバランスを取る | BLUETTI AC70(768Wh) | 88,000円 |
| 1〜2人世帯・実績重視で選ぶ | LACITA エナーボックス(444Wh) | 69,800円 |
| 持ち出し用・2台目のサブに | Jackery 240 New(256Wh) | 32,800円 |
防災用ポータブル電源は、カタログの数字を眺めるより先に「自分の家で何を何日動かすか」を書き出すことから始めると、必要な容量と出力が自然に決まります。
そのうえで、在宅避難を前提にするなら1,000Wh級を1台、持ち出しも視野に入れるなら大容量機+小型機の2台構成が現実的です。バッテリーは買った瞬間から少しずつ劣化するため、「いつか買う」より「今買って使いながら備える」ほうが結果的に長く役立ちます。より詳しい容量別の比較は大容量ポータブル電源、車中泊との兼用は車中泊向けポータブル電源もあわせてご覧ください。



